1 キャッチボール

パシン、パシン。

小気味いい音が響く。

ボールが行ったり来たり。

綺麗な弧を描いて、それは相手のミットの中へとおさまる。

「上手になったじゃん、コンラッド!」

そう言って、ユーリが投げる。

「そうですか?じゃぁ、陛下の教え方がいいからですね」

コンラッドがボールを投げる。

ユーリの顔が少し、ムッとしかめられる。

「陛下ゆーな!名づけ、親っ!」

力いっぱい投げられたそのボールは

胸元に構えられたコンラッドのミットの中に勢いよく収まった。

「そうでした。すいません、ユーリ」

コンラッドはにっこりと笑いながら、いつものセリフを言って。

柔らかく、弧を描いてユーリのもとに収まるそれは

まるでコンラッド本人のようで。

「・・・なぁ、コンラッド」

投げるユーリの球は、もう先ほどの粗さはない。

「なんですか?」

聞きながら投げ返す。

「・・・・」

受け取ったボールを、投げるのをためらうように握ったままのユーリ。

コンラッドが近づこうとしたとき、真っ直ぐ、その目に見つめられた。

立ち止まる。

「ユーリ?」

すぅっ、と息を吸って。ユーリがコンラッドにボールを投げた。

「・・・あんたが好きだよ」

ボールが届いたのと、ユーリの言葉が、コンラッドの元に届いたのは

ほぼ同時。

コンラッドは驚いたように、目を見開いてユーリを見て。

それから、そのボールを見つめると、ふっと笑みを深くして。

その、想いの詰まったボールを。

想いをこめて、ユーリに投げ返した。

「俺もですよ。」

貴方が好きです。

その想いと共に、そのボールはしっかりとユーリの手の中に。

数メートル離れたその場所で、ニッコリ微笑むコンラッドを見て

ユーリもニッコリと笑い返した。


□あとがき■
何が書きたかったのか・・・(汗)
そ、そう!確か、言葉のキャッチボールとかけていた気がっ!!