遭難・・? 「うー、ざみぃっ」 「大丈夫ですか、陛下」 「へいかって、言うなっ、なづけ、おや!」 「すいません。で、ユーリ。大丈夫ですか」 「なんとかな。でも、早く城に帰りたい・・」 吹雪だ。あまりの寒さに凍えてしまいそうだ。 鼻水も出たところから凍ってしまう。 「うー、なんでこんなに寒いの」 建物の中なのに。・・ボロ小屋だけど。 「ここは地球で言うアラスカの辺りに位置するところですから、特別寒いんです。 眞魔国はこんなに寒くないですよ」 「なーんで、こんな時期にこんな所に・・・」 「たまたま俺がこちらに出てきていたから。ウルリーケが俺の所に送ってくれたんでしょう」 「ありがたいような、ありがたくないような・・・」 そう言ってユーリは大きなくしゃみをした。 コンラッドにだけ、一番に逢えるだなんて。 ほんと、ココが暖かい場所だったならこんなに嬉しい事は無いんだけど、ね。 「そんな寂しいこと言わないで下さいよ」 ユーリを抱き寄せ、自分のコートの中に引き入れながら、コンラッドはそう言った。 「っ、コンラッド!?」 「これなら、寒さもマシでしょう?」 そりゃ、暖かくなった。むしろ熱い。身体が。 近くにコンラッドのぬくもりがあって・・・。 うぁ・・・、ドキドキするっ! きっと、コンラッドはニッコリ嬉しそうに笑っているに違いない。 見なくてもわかってしまう。 「コンラッド・・」 「はい?」 「・・・あったかい・・・」 「それはよかった」 ユーリはコンラッドの胸に身体をあずけてコンラッドの背中に腕を回した。 「あったかい」 「もっと、暖かくなります?」 「え?」 顔を上げたら唇が塞がれた。 男前な顔が目の前にあって、銀を散らした茶色の瞳が俺を優しく見つけていた。 まさか、コンラッドさん?ココでいたしちゃおうなんて、思ってませんよね? しかし、そんな俺の思いも虚しく、コンラッドは大分、かなり本気のようだ。 「ま、待って、コンラッド!!ムリ、ムリだって!こんな所じゃやだぁっ」 「ここじゃなければいいと?」 「そりゃ、まぁ・・って、ぁ・・」 俺の墓穴を見逃してくれるほど、今のウェラー卿は優しくなかった。 「では、城に戻ってから。今おあずけされた分も、たっぷりと」 「あー、うー」 くそうっ、爽やかにそんなこと言うなよっ!! 恥ずかしさに真っ赤になって、コンラッドに抱きしめられてキスをされて。 凍えるような寒さなんてすっかり忘れてしまっていた。 翌日。 迎えにきたヴォルフラムとギュンターがくっついてる俺たちを見て、大騒ぎになっ たのはまた別の話だ。
・・・よく死ななかったよね、と書いた後に思いました。 ま、コンラッドがいるしね!(笑) 戻