隣の恋人 「さびしい・・・」 呟いたユーリは自宅のベッドの上で布団に包まった。 「コンラッド・・・」 そう呟けば、もっとさびしくなった。 どうしてだろう。今までこんなことなかったのに。 寒くなってきたからだろうか・・・。 携帯を開いたら画面が明るくなった。 時間は夜中の1時。 携帯の電話帳を開いてコンラッドの名前を出した。 ・・・・どうしようか。 ユーリは迷う。 電話、したら起こしちゃうかな。もう、きっと寝てるよな? メールなら大丈夫かな。 画面と睨めっこすること数分。 寂しさに負けて、ユーリはメール製作画面を開いた。 今まで、コンラッドにメールを出すのにこんなに緊張したことはない。 書いたメールはなんてことない、そっけないくらいのメールだった。 『今、平気?』 送信ボタンを押した。 「はぁ〜」 大きなため息をついて、うつぶせになって枕に頬をくっつける。 手に持った携帯を見つめた。 返事が返ってくるのがとっても遅く感じる。 「・・・・寝てる、か」 そう呟いた瞬間、携帯が震えた。 それはメールではなくて電話だった。 「も、もしもし?」 『こんばんは、ユーリ。・・どうかした?』 「や、えと・・。まさか電話が来るとは思ってなかったんだけど・・・」 『あ、メールでお返事したほうが良かったですか』 「そんなことないっ!」 『よかった。それで、どうかした?珍しいね。こんな時間にユーリがメールしてくるなんて』 「うん・・、ごめん。起こしちゃった?」 『いや、今風呂に入ってたところだから』 「そか、ごめんな」 『ユーリ?』 「ごめん。なんか、寝れなくてさ・・・」 『なにかありました?』 「・・・さびしい・・・」 『え?』 「さびしくて・・・。コンラッドの声、聞きたかった・・・」 きっと、俺は今情けない声を出しているだろう。 自分でもわかる。 こんなこと言われても、コンラッドだって困るだけなのに。 『ユーリ、忘れてません?』 「え?」 『家が隣同士だってこと』 「忘れて、ないけど・・・」 『部屋の窓、開けて?』 「?うん」 そういわれて、俺はベッドを出ると部屋の窓を開けた。 「っ!」 『「こんばんは」』 耳元と目の前から、同じ声。 「コンラッド」 『「はい?」』 「抱きしめて・・・」 「はい」 返事と同時に、コンラッドに抱きしめられた。 「コンラッド・・・っ」 「そんなに寂しかった?」 「ん」 俺はコンラッドにしがみつき、その胸に顔をうずめて擦り寄った。 コンラッドが、頭を撫でてくれる。子供扱いされてるみたいで悔しいけど、 今はそれがとても気持ち良くて。 「一緒に寝ようか」 「うん」 コンラッドに抱きしめられたまま、ベッドに横になる。 すると、すぐにコンラッドが離れようとするから、俺は手を伸ばして、 しっかりコンラッドに抱きついた。 「コンラッドっ」 すると、コンラッドが困ったように笑った。 「?」 「まるで、ユーリに誘われてるみたいだな、と思ってね」 「・・・なっ」 真っ赤になって逃げようとした俺をコンラッドがしっかり抱きしめてきた。 「大丈夫。誘われたいけど、今日は大目に見てあげるから。さ、寝よう?」 俺は後ろから抱きしめられたまま、こくんと頷いた。 そのまま、コンラッドのほうに向き直り、胸に収まる。 あったかい・・・。 「おやすみ、ユーリ」 「おやすみ、コンラッド・・・」 俺はコンラッドに抱きしめられたまま、眠りについた。 もう、全然寂しくない。
ぱ、パラレル・・・?(笑) 授業中にこそこそと製作しました(笑) 戻