お兄ちゃんと僕 「いってきます!」 そう言って、元気に家を出た有利が向かったのは、隣の家。 「コンラッドー!遊びに来たっ」 そう言って、チャイムも押さずに玄関を開ける。 「いらっしゃい、ユーリ。どうぞ、上がって」 「うんっ」 コンラッドは優しい笑みで有利を出迎え、リビングに通した。 有利はコンラッドの前では兄の勝利がヤキモチを妬くほど甘えたがりになる。 「飲み物、持ってきますね」 「うん、ありがとう、コンラッド」 定位置のソファーに座って、有利はすっかりくつろぎモードだ。 「今日は、コンラッド一人?」 台所のコンラッドに有利が聞く。 「ええ、俺だけですよ。誰か、会いたかった?」 「違う。へへ、やった」 ココアとコーヒーを持って戻ってきたコンラッドに、有利は笑顔を向ける。 そして、テーブルにカップを置いたのを見て、コンラッドの腰に抱きついた。 「ヴォルフラムとかいたら、邪魔されてくっつけないし」 「ヴォルフはユーリが好きだから」 有利の隣に座りながら、コンラッドは抱きついてくる有利の頭を撫でてやる。 「違うよ。あれは、俺にコンラッド取られてムカついてんの。絶対そう!」 そう言って、拗ねたように見上げてくる有利に、コンラッドは苦笑を浮かべた。 こんな風に見上げられたら、キスしたくなるじゃないか・・。 コンラッドは、手が出そうになる自分を押し止めた。 ユーリにとって、自分をただの近所のお兄ちゃん。 自分の気持ちに気付かれるわけにはいかない。 離れていかれないように・・・。 「コンラッド?」 黙ってしまったコンラッドに、有利が不思議そうに首をかしげる。 そんな有利に、コンラッドはニッコリと笑顔を向けた。 「なんでもないよ。・・・それで、今日は何をする?」 「んー・・・、どうしよっかなー」 「あれ?キャッチボールって返事が返ってくると思ってたんだけど?」 「うーん・・・。やりたいけど・・。今日は雪降るかもって。寒いから、遊んで怪我した らヤだもん。それに・・・」 有利が少し頬を染める。 「ん?」 「せっかく、コンラッド、独り占めだし・・」 ぎゅっと顔を隠すように強く抱きついてくる。 あぁ、まいった。本当に・・・。 そう思いながら、コンラッドは、有利を軽く抱きしめ、笑いかけた。 可愛い可愛い、幼馴染の想い人に。
パラレル! シリーズに出来たらいいなぁ。 あ。題名は上げる直前に決めたもの。 意味はありません(笑) 戻