Love song






 〜〜♪

「あれ、渋谷。何聴いてるの?」

返事がないと思ったら。

有利の家に遊びに来た村田が、有利の部屋に行くと、

有利はベッドの上に座り、壁にもたれかかって、

ヘッドフォンをつけて目を閉じていた。

少し、微笑んでいるように見えるし、時折鼻歌も聞こえる。

寝ているわけじゃないらしい。

「しーぶや」

呼んでみてもやっぱり目は開かれないし、返事も無い。

まぁ、聞こえないとは思ったけどね。

一体何をそんな熱心に・・。

村田は、有利に近づいて、トントン、と有利の肩を叩いた。

有利はハッとして顔を上げた。

「なんだ、村田かぁ・・」

「誰だと思ったの?」

「いや、別に・・・」

有利はヘッドフォンを外しながらそう言った。

「で、一体何を聴いてたの?」

「ん?コレ」

有利がMDコンポからヘッドフォンの線を抜いた。

流れてきた音は静かで、そんなに大きな音量じゃない。

村田の声が聞こえなかったのは、よほど、

有利が夢中になって聞いていたということだろう。

「この歌・・」

「へへ〜、そーなんだ」

歌を聴いて、村田がつぶやく。

流れてきたのは、よく知る、けれど、

この"地球"には何処を探してもいない人の声。

「へぇ・・・」

「いー声だろ?」

「・・・渋谷はこれを夢中になって聞いてたんだねー」

全ての音を、シャットダウンしてしまうくらい。

村田はため息をついた。

まったく、見せ付けてくれる。

「・・・・だって、・・・」

「何時の間にこんなの録ってたの?」

「帰ってくる前。コンラッドに頼んだんだ。録らせてって」

こっちに戻ってきてからは、毎日きいてるんだ。

有利が、はにかんだように笑う。

無自覚に惚気てくれる有利に、村田はごちそうさま、と呟いた。

有利は首をかしげている。

まったく、嬉しそうな顔しちゃって。

学校のクラスメイトたちや、草野球チームの仲間が見たら何て言うかな。

こんな『恋する乙女』な渋谷。

想像して、笑ってしまった。

「なんだよ、村田。何笑ってんだよ」

「いやいや。本当に、渋谷はウェラー卿が好きなんだなぁって」

「な、ばっ!変なこと言うなよなっ!!」

「今更でだろ?照れない照れない」

「コンラッドには、言うなよ」

「どーしよーかなぁ」

「村田ぁっ!」

真っ赤な顔して、本気で照れる渋谷は確かに可愛いと思うよ、ウェラー卿。

渋谷を泣かしたときは、絶対に許さないからね。

有利の部屋には、コンラッドの歌うLove me Tenderが流れていた。







Love me Tenderを聴いて、聴きながらずーっと頭の中にあった話。 やっと書き起こすことが出来ました。 森川さん、サイコーです。流石です。 惚れ直しました(笑) ユーリだってメロメロですvvv あ、言っておきますが、私は村田×渋谷の趣味は一切ありません。 その逆なんかもっとありえません。 彼らは親友です。友達です。色っぽいことは一切無いです。