おにいちゃんと僕 2







『今、なにしてる?』
『部屋に戻ったところです』
『これから何するの?』
『そうですね、風呂に入って・・テレビでも見ようかな』
『へー。部屋は一人なの?』
『いや、大体2〜3人くらいかな?』
『・・・ふぅん』
『いっとくけど、男同士だからね?』
『わかってるよ!』
『かわいいね』
『は!?わけわかんない。今の話の流れでどこでそう思うの!?』
『ユーリはいつだって可愛いよ』
『・・・ばかコンラッド』


今日、コンラッドは大学のゼミの交流とかで一泊二日の合宿に行っている。
せっかくの土日なのに一緒にいれないなんて、と思ったけど、
コンラッドの生活を邪魔したいわけじゃないから。
ぐっと我慢して見送った。
その代わりに、メール。
コンラッドからすぐに返事が返ってくるのが嬉しい。

『いいの?メールなんてしてて』
『平気だよ。みんな女の子の部屋に行ってるから』
『・・・・コンラッドは・・・?』
『俺は一人がいいんです』
『・・・ごめん、邪魔してる?』
『まさか!俺がユーリと話したいんだよ』
『・・・そか。寒いね、今日は。そっちも寒い?』
『部屋はあったかいけどね。外は寒いよ・・・ユーリも、傍に居ないしね』
『も、ばか!』

そうやって送った後、少し考えて、有利はコンラッドからの返事を待たずにメールを送った。

『あいたいよ』


そして、ドキドキしながら返事を待ったが、コンラッドからなかなか返事がこない。

(・・・我侭言っちゃったかな。困らせちゃったかな・・・)


ごめん、とメールを打とうとしたそのとき。

「わっ、え?コンラッド・・・?」

携帯が鳴った。メールじゃなくて、電話だ。

「も、もしもし!」
『あ、ユーリ。こんばんは』
「あ、うん。えっと・・・コンラッド?・・その・・・・」
『平気ですよ。部屋には俺一人だから』
「それもだけど、そーじゃなくて。その、メール!あんなこと言っちゃって、ごめん。
 コンラッドを困らせるきじゃ・・・」
『困る?どうしてです?嬉しいよ。俺も、ユーリに会いたい』
「っ・・・!」


電話の向こうから、くすくすと笑う声が聞こえた。
かーっと赤くなる。

「も、からかった・・・っ」
『とんでもない。可愛いな、と思っただけ』
「う・・」

その声が、思っていたよりもまじめで、優しくて。
言葉に詰まってしまった。

『明日、帰ります』
「うん・・・知ってるよ」
『帰ったら、すぐに迎えに行くから』
「家、隣じゃん」

笑ってしまった。
それにコンラッドも小さく笑って、そうですね。といった。

『それでも、すぐに迎えに行くから、そしたら、ずっと一緒に居よう?』
「コンラッドが迎えに来る前に、俺がコンラッドのうちに行くもん」

そういうと、それでもいいよ、とまた笑った。
嬉しくて、有利も笑う。

「コンラッド、だいすき」
『俺も、好きですよ』
「明日ね」
『はい、また明日』
「おやすみ」
『おやすみなさい、ユーリ』


名残惜しかったけど、電話を切って、有利は枕に顔をうずめた。
電話の向こうから聞こえてくる優しいコンラッドの声。
耳のすぐ側で聞こえて、くすぐったくて、ドキドキがとまらない。

「コンラッド・・・早く帰ってきてね」

早く明日にならないかな。

有利は電話を握ったまま目を閉じた。