貴方の名前




さっき眞魔国に戻ってきたユーリは、用事で迎えに来られなかったコンラッドを探し歩いていた。

「コンラッドー?」

「なんですか?」

「あ、いた。コンラッド!探してたんだ」

コンラッドは庭にいて、俺を見つけたらニッコリと相変わらずな爽やかな笑顔で迎えてくれた。

「お帰りなさい、陛下」

そう言って抱きしめてくる。久しぶりのコンラッドだ。俺もコンラッドに抱きついた。

「ただいま、名付け親。陛下って呼ぶなよな」

「そうでした。で、ユーリはどうして俺を探してたんです?」

そのセリフに、俺は抱きしめられたままコンラッドを見上げた。

「ん?あ、そうそう!言いたいことがあったんだ」

「何ですか?」

「あのな、向こう・・地球の学校で、授業中に配られたプリントにさ、コンラッドの名前見つけたんだ!」

「俺の名前?」

「まぁ、正確にはコンラッドの名前はコンラートなんだから違うんだけど。
コンラッドって見つけて、凄く嬉しかったんだ!」

「そうですか」

ほんとに嬉しそうに言うユーリにコンラッドは苦笑気味で答えた。

「なんだよ。そりゃ、コンラッド本人じゃないし?名前だけでって思うかもしれないけど。
コンラッドの名前見るだけでニヤけるなんて重症だって村田にも呆れられたけど!
嬉しかったんだから、仕方ないだろ」

拗ねてそういうユーリに、コンラッドが笑顔になる。

「そんなことないですよ。嬉しいですよ?それに・・凄い口説き文句ですね。
名前を見ただけで嬉しくなる、だなんて」

「なっ!・・・別に、今更口説いたりしないよ。
・・・ただ、あえない時間が長くて、名前見て、恋しくなって。寂しいかな、とは思ったけど・・・」

赤くなりながらボソボソと言うユーリはとても可愛い。コンラッドは更に笑みを深くした。

「今度は凄い殺し文句だ」

「な、もう!」

恥ずかしくて、ユーリがコンラッドの胸を軽く叩く。

コンラッドの抱きしめる腕の力が強くなる。

「部屋で、二人きりで過ごしますか?」

「これから?こんな昼間から?何もしない?」

コンラッドの誘いにくすくすと笑いながらユーリが言うと、コンラッドもくすくすと笑いながら答えた。

「約束はしかねます」

そういうコンラッドをユーリが見つめ。

「・・・いいよ、コンラッドと一緒なら、どこだって」

離れていた時間が寂しいのは同じ。相手が恋しいのも、欲しいと思うのも、決して自分だけじゃない。

ユーリはコンラッドの首に腕を回して、引き寄せ、自ら唇を寄せた。


ほのほの?