呼び方 「雨降ってる」 「そうだね」 不二の部屋で、リョーマは不二の隣に座ったまま、窓の外に目をやりつぶやいた。 「ねぇ、不二先輩、つまんない」 「ごめんね、僕の部屋、なにもないから。」 「んーん・・?不二先輩と一緒に入れるし。久しぶりの休みなんだから、のんびりするのもいいかも」 「ありがとう」 にっこり、笑ってやると、リョーマも笑顔を返してくれる。 それは、普段の生意気な笑顔ではなく。 ふと、本棚に目をやると、上のほうに他の本とは装丁の違うものを見つけた。 「ね、不二先輩、あれって・・・アルバム??」 「ん?あぁ、そうだよ」 リョーマの指差すほうを見て、不二は答えた。 「見たい!」 「え?」 「見ていい?」 「うん、いいよ」 不二は微笑むと、立ち上がってアルバムをとってくる。 リョーマは差し出されたそれを受け取ると、ページをめくった。 「ぅわ・・」 小さい頃、小学校くらいだろうか。の不二が弟の裕太と仲良く写っている。 「これは、裕太の入学式だね」 「不二先輩、可愛いね・・・。裕太とも、仲良さそう」 ピクッと不二が反応した。 「?どうしたの、不二先輩・・?」 「なんでもないよ。」 にっこり笑ってくる不二に、まだ首をかしげながらも、リョーマはアルバムのページをめくっていく。 「うわー、不二先輩と裕太、女の子のかっこしてる」 「・・・・ねぇ、リョーマ君・・・」 呼ばれて顔を上げる。 「なに?不二先輩」 「名前・・・」 「名前?」 「そう。名前・・・」 「名前がどうかした?」 首を傾げてくるリョーマに、苦笑しながら、不二はキスをした。 「っ、先輩・・・?」 「僕の名前も呼んで欲しいな??」 「え?」 「いつまで、不二先輩??」 「あ・・・」 不二の要求がわかったリョーマは赤い顔を俯けた。 「僕たち、恋人同士だよね?名前、呼んで欲しいな・・・?」 「なんで、そんな・・急に・・・」 顔を覗き込んでくる不二に、リョーマは顔をそむける。 「裕太は、名前で呼ぶのに・・・?」 「え・・?」 その台詞に、顔を上げると、不二は真剣な顔でリョーマを見つめている。 「・・・やきもち?」 「そうかもしれないね。ねぇ、リョーマ君、名前で呼んで?」 しかし、黙ってしまったリョーマに、視線を外し諦めのため息をつく。 すると、リョーマが不二の服の裾を引っ張り、一言。 「・・・・しゅぅ・・すけ・・」 驚きと嬉しさでリョーマを見ると、俯いててもわかるほどに、リョーマは赤くなっており。 「リョーマ君・・・」 不二は、にっこり微笑んでリョーマを抱きしめた。 「うれしいよ、リョーマ君」 「周助・・・」 「赤くなって、可愛い・・・」 「っ、も、もう呼ばないからっ!」 「どうして・・?僕は、こんなに嬉しいのに」 そう言って、リョーマに口付け、ベッドへと押し倒した。 「んっ、あ・・・アッ・・」 「リョーマ・・・」 「ひぁ・・っ!あ、あぁ・・っ」 不二が動くたび、リョーマからは甘い声が漏れる。 「リョーマくん・・・、名前、呼んで?」 「あ、しゅ・・すけっ、ンっ、しゅぅすけ・・・っ」 名を呼ばれ、リョーマの中で、不二のモノが大きくなったのが伝わってくる。 「もっ、あ・・ぁ!しゅーすけ、も、イッちゃっ・・・」 「リョー・・マっ・・」 ぐっと奥を深く突くと、リョーマは一際高い声を腰を震わせて上げて果て、 同時にきゅっと締め付けられた不二も、遅れて、リョーマの中で弾けた。 「もぅ。なんで、急にこんなことするのさっ」 大して着崩れていなかった不二は、すっかり身なりを整えていて。 反対にリョーマは、まだ、裸でベッドの中だ。 「ごめんごめん、リョーマ君に名前呼ばれたら、思ったより・・キちゃって・・」 すまなそうに苦笑を浮かべる不二に、リョーマは一つ、ため息をつく。 「・・そんなに、嬉しかったの?名前・・・」 「うん。すごく。あ、それから、恥ずかしがるリョーマ君が、可愛くって・・」 「っ・・・」 にっこり笑ってくる不二に、赤くなりながらリョーマは枕を投げつけ。 「もう、周助なんか知らないっ!」 不二は、リョーマが怒っているにもかかわらず、それでも、自分の名前を呼んでくれるのが嬉しくて。 ごめんと謝りながら、それでもニコニコ笑っている。 リョーマも怒っているわけではないが、恥ずかしさに布団をかぶって篭ってしまい。 不二はそんなリョーマを楽しそうになだめ。 こうして、久しぶりの休日は過ぎていった。 戻