「プラチナ様、苺食べますか?」

形だけのノックをして、返事を待たずに部屋には言ってきたジェイドは、
籠の中いっぱいに入っている真っ赤な苺を見せて言った。

「苺・・・?」
「はい。頂き物なんですがね、とても美味しそうですよ」

後ろ手に扉を閉めて、ジェイドはプラチナに近づく。

今の二人の距離は、机の分だけ。

プラチナが手を伸ばして苺を1つ摘む。
それを口に運ぶ。
真っ赤な苺が開かれた赤い唇の中に消えていくその様は、
なんでもないことな筈なのに酷く扇情的に見えた。

「・・・うまいな」

ジェイドはそんな心境を全く顔に出さず、にっこりと微笑んだ。

「お茶にしましょうか」
「あぁ」

プラチナがイスから立ち上がる。
サラリ、と高くにまとめられた銀の細い髪の毛がサラリと流れた。
その様を目を細めてジェイドが見つめる。
その視線に気がついたプラチナが首をかしげた。

「ジェイド・・?」
「なんでも・・・・いえ、綺麗ですよ、プラチナ様」
「・・・・・阿呆」

にっこりと微笑んで言えば、照れ隠しなそんなセリフが返って来る。
まだ慣れないんですね。毎日、言っているのに。
本当に、可愛いですね、プラチナ様。
いつまで、そんな風に可愛い貴方でいてくれますかね?

ジェイドはくすくすと笑ってお茶の準備をする。

そんな、春の昼下がり。






えーっと、日常的ほのぼのってことで。