こんな日が一番いいv



日曜日。
工藤邸のリビングでは工藤新一が本を読んでおり、
居候(快斗曰く同棲中)の黒羽快斗がTVゲームをしていた。

「ねー、新一?」
「ん〜?」

TVから目を離さずに話しかける快斗に、本から目は上げ無いが、珍しく返事をする新一。

「今日はさ、ジャマモノ来ないの?」
「邪魔者?」

今度は新一の方を見て、イヤそーな顔をして聞く快斗。
その言葉に反応して本から目を上げる新一。

「そう。服部平次と白馬探。」

フルネームで呼び捨て。
名前を呼ぶその声には毒気さえ感じられる。

「あー。来るってのは聞いてねーけど。あいつらは何にも言わなくっても来るじゃん。
 わかんねーよ。でも・・・・・・来ないかもな。今日は」
「へ?どーしてわかんの?」
「だって、あいつらがいつもうちに来るならもうとっくに来てるだろ?」
「あー・・・。そう言えばそうか。確かに、あいつらにしたら遅すぎる」

快斗がゲームを片づけながら言う。
新一も本を閉じて台所に向かいながら言う。

「だろ?いつもなら家の中めちゃくちゃになってる。」

片づけ終わった快斗がソファーに座り新一がコーヒーを持ってきて快斗に渡し、快斗の隣に座る。

「新一、珍しいね。本、もう読まないの?」
「ん?読んで欲しい?」
「ち、違う、ちがう!!!」
「・・・・・この本は2回目のだからいいんだよ、別に」

コーヒーを飲みながら言う。

「そっか・・・・・。」

沈黙が流れる。いつも騒がしいせいで、静かすぎて落ち着かない。
ホントに珍しく静か。快斗もなんにも言わない。新一も珍しく退屈していた。

「「・・・・・・・・・静かだなぁ・・・・・・・・・・」」

2人一緒にこんなことを言う。

「でも、たまにはいいな。」
「何が?」

快斗が聞き返すと新一が静かに答える。

「・・・・だから・・・。こーやって・・・2人きりで、ゆっくりするのも・・・」
「・・・・・・・」

快斗が唖然として新一の方を見る。
うつむいているせいで顔はよく見えないがきっと赤くなっているのだろう、
と言うことが簡単に想像できる。

「新一ぃ〜〜〜vvv」

(嬉しいこと言ってくれんじゃん♪)

快斗が新一を抱きしめようとしたら新一の方から快斗に抱きついてきた。

「し、新一!!?」

まさか新一の方から抱きついて来てくれるなんて!!!
快斗は感動に浸っていた。(笑)
新一と付き合い始めてから今まで。
こんな素直な新一を見たことがあるだろうか!!いや、無い!!

「ぁんだよ?」

抱きついたまま真っ赤な顔で睨み上げてくる。

「もーーーーーーっ!カッワイイなぁ新ちゃんったらvvv」
「ばっ!やめっっ」

しかし、そんな新一の抵抗もむなしく、ソファーの上に押し倒されていた。

「・・・どけよ。」

顔の赤いままの新一だが、大抵の人間はこれで素直に従うだろう。
だが、快斗にそれが通用するわけがなかった。

「やだ〜v自分から誘っといて何を今更♪」

快斗が嬉しそうにいう。

「なっ!!誘ってなんかねーだろ!?いつどこで俺がそんなことした!?」

快斗のセリフに冷めてきた顔がまた熱くなっていくのがわかった。

「誘ってるよ。自覚、無さ過ぎだよ。新一。俺から見たら新一の仕草とかみーんな
 誘ってるように見えるもん」
「・・・・・・・。それは、お前の頭が腐ってバカになってる証拠だな」
「うん♪俺は新一バカだからv」
「そーじゃねーよっっ!!」
「まーまー。気にしない気にしないv」
「・・・・・・・」

(ま〜・・・・いっか。今日くらいは・・。)

「あれ?抵抗しないの?いつもはもっと怒るのに・・・?」
「・・・んじゃ、はなせ」
「やだ!やだやだやだやだやだやだやだ(以下省略)!!!」

こんなに珍しく素直でおとなしくていつもより可愛さがUPしている新一を手放すほど快斗はバカではない。


快斗が言うには新一の可愛さは普段からMAXだそーだが、そこからさらにUPしているらしい。

(メーター壊れてんだな。きっと・・・)
新一は心の中だけでこそっと呟いた。

「わーった!!わーったから黙れ!!」

そう言って快斗にキスした。そっと、かすめ取るようなキス。

「しんっ・・・」

快斗以上に新一は自分の取った行動に戸惑っている。
その様子を見た快斗はニヤリと笑い、新一に抱きついた。

「新ちゃん、カッワイイ〜〜〜v」

快斗は嬉しくって嬉しくって、何度も新一にくちづけた。
顔中に優しくキスを落としながら、体中に紅い後を残しながら・・・。
新一は抵抗することなく快斗の愛撫に身をあずけた。


たまには、こういう日があってもいいじゃん?

        静かに2人でこんな風に“恋人同士”の時間を感じ合って

じゃれ合う日があってもいいじゃん?


(―――ってか、こんな日が一番いいかも・・・)