一年の始まり 「で・・・?」 「んー?なぁにv」 「なんでこんなことになってるんだ・・・?」 2005年0時55分。 工藤新一は、恋人である黒羽快斗と寒空の下、初詣に来ていた。 寒くて、ただでさえ憂鬱だというのに、人は沢山いるし。 「俺の作戦勝ち?」 笑いながら言う快斗が憎たらしい。 今年の終わりもカウントダウンも新一は警視庁だった。 年が明けてからの帰宅となり、疲れながらも、帰ったらゆっくり休める。 と、一人で帰路についていた新一は、待ち伏せするように壁に寄りかかって 立っていた快斗に、ビックリして。それと同時に嬉しくも思って。 ・・・・・なのに、どうしてこうなっているのか。 家でのんびりする予定だったのに。 快斗はこのつもりで待ち伏せていたのだろう。 新一が家に帰ってからだったら絶対に初詣なんかに行かないことがわかっていたから。 快斗の姿をみて、ちょっとでも嬉しく思った自分に腹が立ってくる。 そして、なんだかんだ言いつつ、快斗についてココまで来ている自分にも。 「新一、怒ってる??」 さっきから、黙ったままの新一に、快斗が不安そうに声をかけてくる。 ホントはもう諦めていて、怒ってなんて居ないんだけど。 所詮は惚れた方の負けなのだから。 でも、許してやるのも腹が立って。 「怒ってる」 微笑みと共にそう言ってやった。 「・・・あ、ぅ・・・。だって、一緒に来たかったんだよ。」 「明日でもいーだろうが。」 「年明けてすぐ、夜中にお参りに行くのが楽しいんじゃんか! 夜中に出歩くのって、普段あんまりないし、ドキドキするでしょ?」 ホントに楽しそうにそう言う。 そんな快斗に新一は呆れたように言った。 「・・・・・んなことねぇだろ」 お互い、怪盗と探偵なんてモノをやっているのだ。 夜中がどうこう、なんて今更だろう。自分はともかく、 快斗なんかは夜中のほうが仕事が多いではないか。 「ちっがーう!そう言う意味じゃなくて!!」 「はいはい」 「もーっ」 「ほら、さっさと行ってさっさと帰るぞ」 騒ぐ快斗におざなりに返事をして、新一はマフラーで口元を隠してこっそり笑い、 快斗を促してさっさと歩いていく。 前を歩く新一を、快斗が追いかける。 「あ。」 何か思い出したように、新一が立ち止まり、快斗の方を振り返った。 快斗も立ち止まる。 「なに?」 「あけまして、おめでと。・・・・今年も宜しく、な?」 にっこりと綺麗に微笑む新一に、一瞬見惚れ、そして、快斗の顔にも笑顔が浮かぶ。 「おめでとう。よろしくな、新一」 気付いたときには新一は快斗に抱きしめられていた。 「あ、こら、快斗!」 「へっへー、新一によろしくされちゃったv」 一緒にカウントダウンは出来なかったけど、年越しでのキスも出来なかったけど。 これから始める、一年・・・一緒に居られるから。 お互いに、危険な副職についているけど、それでも一緒にいたいと思うから。 快斗は新一の手をとって歩き出した。 「早くお参りして帰ろー」 「急にどうしたんだよ?」 快斗のことだから、出店を回るのだろうと思っていた。 大人しく手を引かれ、首をかしげ不思議そうに言う新一に、快斗はイタズラな笑顔を浮かべる。 快斗はイタズラな顔のまま新一の耳元に顔を寄せ・・・ 「はやく新一と姫始めしたいから」 「・・・っ!!」 この場合の姫始めがどういう意味か、なんて新一にもわかる。 だいたい・・・・去年だって一緒に年越ししているのだ。 真っ赤な顔をしている新一を快斗は楽しそうに見ている。 なんだか、負けたみたいでむかつく。 新一は快斗に蹴りをいれ、それでも手は繋がれたまま。 家に帰った後、二人がベッドの上で仲良くイチャついていたのは、言うまでもない。 Happy New Year
あけおめです! 一身上の都合により、年明け小説のUPが遅れてしまいました(汗) 今年も、ラブラブ快新、を頑張っていきますw 戻