だから、どうしてこうなるんだ・・・? 今日は始業式で、俺は今学校にいて・・・。 なのに、どうしてこいつが居るんだ? よく、自分に似ている、と言われる顔をしたその男は、教壇の上で先生の隣でニコニコと愛想を振り撒いている。 頼むから、夢なら覚めてくれ・・・・。 工藤新一は頭を抱え、現実逃避を試みた。 新学期 始業式が終わった後のHR。 クラスの中は騒がしく、久しぶりにあった友達同士が休み中の話で盛り上がっている。 入ってきた先生によって、皆がそれぞれの席につく。 「えー、こんな時期だが、転入生がきているぞ」 教室中がざわめいた。 確かに珍しい。4月からの転入ならわかるが。三学期のこんな時期に・・・。 転入生、と聞いて再び落ち着きを無くした教室に、その転入生が入ってきた。 一瞬静かになった教室に、しかし次の瞬間には女子の黄色い声が響き渡る。 嘘だろ・・・・。 新一は自分の目を疑った。 しかし・・・ 「初めまして、黒羽快斗です。一身上の都合により江古田高校から来ましたー。特技は、手品。よろしく〜」 言いながら花を出したりして。 ニッコリと愛想よく。 今、この瞬間だけでどれだけの女が落ちただろう。 「はぁ・・・」 無意識に口をついたため息。 同時にムカついている気持ちも吐き出せたらよかったのに。 ・・・自分の恋人が騒がれて悪い気はしないが、いい気もしない。 ムカツク。 うなだれる新一に、先生から声がかかった。 「工藤、黒羽の面倒見てくれな」 「何で俺が!」 「黒羽の希望だ。」 「なっ・・・・」 言葉に詰まって、思わず快斗の方を見る。 当の快斗はニコニコと嬉しそうに笑っている。 「よろしくね、新一v」 何時の間にか新一の目の前に居るその憎たらしい恋人に、 「あぁ、話はあとでよーっく聞いてやるよ」 負けないくらいの綺麗な笑みで、にっこりと。 自分の隣の席につく快斗にそう言ってやる。しかし、その目は笑っていないが。 そんな新一に、怒らせちゃった・・。と快斗は乾いた笑みを浮かべる。 新一は不機嫌を隠そうともしない。 ムスっとそっぽを向く新一を宥めている快斗。 なんだか、普段と違う新一にクラス中がどよめく。 あの工藤新一が、子供みたいに拗ねている!! 有名人である、帝丹のアイドル(笑)工藤新一が、たった今、人気者になった転入生・黒羽快斗と知り合いだったという事実。 しかも、とても仲がいいらしいと言う事実。 今、この教室の注目の的になっているバカップルが、バカップルとして学校中に知れ渡るのはそう遠い日のことではない。
続きそうで、続くかどうか解らないような(爆) 戻