Dearest


「くどーせんせvしんどいから寝かせて〜」

そういって元気よく保健室に入ってきたのは、常連である黒羽快斗だ。

「・・・・・お前な。仮にもしんどいなんてセリフ吐くんならそれなりの態度をしてみろ」
「えー?だって、工藤先生に会えると思うと嬉しくって」
「あ、そ」
「あー、信じてないだろ」

なんだかんだ言いつつベッドの用意をする新一に、快斗がにやっと笑う。

「どーやったら信じてくれんのかな〜」

語尾にハートマークでもついてそうな言い方で、新一の背後から覆い被さる。

「うっわ!」

目の前にはベッド。
白いシーツの上にドサッと倒れこむ。

「こら!黒羽っ」
「だって、新一が信じてくんないんだもん。ほんとに嬉しいんだぜ?」
「誰も信じてないなんて言ってねーだろ!ほら、ふざけてないでとっとと寝ろ」

上からどけ、と振り返って見ら見つける。
その眼にクラリとクるものがあったが、快斗はしぶしぶ新一の上から退いた。
・・・どうやら本当にお疲れのようだ。

「ったく。」

立ち上がって白衣を直す新一を見ながら、ベッドに入る。
思っていたより、眠かったらしい。
すぐにウトウトし始める。

「・・・・どこも、怪我してねーな?」

半分ねかかっている快斗に、新一が尋ねる。

「ん。大丈夫。寝てないだけだから・・・」

流石の快斗も一週間もちゃんと寝ていなかったら疲れるらしい。
緊張が解けてしまったから、余計に疲れが押し寄せてきたんだろう。

「さっさと寝ろ」
「んー・・おやすみ・・ぃ・・・」





*





新一はカーテンを閉めて、ため息を付いた。
イスに座って快斗の眠っているベッドの方を見る。

「ったく。無茶しやがって」

快斗の仕事に、口は出さないけれど。
それでも心配はする。
イヤでも目や耳に入ってくるキッドの噂を、平常心を装いながら、内心ドキドキで聞いているのだ。
かけていた伊達眼鏡を外し、机に投げるように置く。

表は保険医。裏では探偵。
隠している訳でもないけれど、公言しているわけでもない。

方や、表は学生。裏では怪盗。しかも国際指名手配犯。
なんでよりによって男で、怪盗で、年下で、意地も悪い。
おまけに、教師と生徒。
なんでこんな奴を好きになってしまったのか。

新一は再びため息を落とす。

それでもやっぱり可愛いとか、格好いいって思ってしまうんだからどうしようもないんだけど。

どうせ、学校が終わるまで起きないだろうし。
四限目が始まってから登校してきて、直接保健室に来んだろう。
家で寝てろと言いたいが、快斗に会えて嬉しいと感じる自分も少なからずいるのであえて言わない。

新一は受話器を取った。
確か、快斗の担任はこの時間は職員室にいるはずだ。
快斗のことをどう言い訳・・もとい説明しようか考えながら、職員室に電話をかけた。






完璧に 名 前 負 け(笑) シリーズになりそうな予感もしてたりしてなかったり。 いやー。発掘してたら出てきたんで。 恥をしのんでアップです。 パラレル設定たのしいな(笑) それでもやっぱり新一には探偵でいてもらいたいんだね、私(笑)