ひとりじゃいや

ひとりじゃいや



快斗が風呂を上がりリビングへ行くと、ソファーには新一が座っていた。
先に風呂には行った新一の髪は、まだ少し濡れていた。

「新一。髪ちゃんと乾かさないと。風邪引くよ?」
「んー・・」

生返事だけが返ってくる。
快斗は仕方なさそうに笑うと、持っていたバスタオルで新一の髪を拭き始めた。

「先にベッド行っててって言ったのに」
「やだ」
「やだって・・・」
「いやだ。一緒じゃないと行かない」
「・・・もしかして、マジで熱出てきてる?」
「熱なんかねーよ。嫌なもんはイヤだ」
「あのね、新ちゃん・・」
「一人で布団に入ったって、寒いだろ・・。だから、嫌だ」

新一は振り向くとソファー越しに快斗の腰に抱きついた。

まったく、たまの新一の甘えたぶりには驚かされる。
あの名探偵がこんな甘えただなんて誰が想像するだろう。
自分にしか見せない、自分だけが知っている新一に頬が緩むのが止められない。

「わかったよ、一緒に行こう?」
「おう」

抱きついたまま頷く新一を抱き上げて、快斗は寝室に向かった。