はぴば快斗!2006



ハッピーバースディ 2006






「誕生日、おめでとう。快斗」

その言葉と同時に、快斗が息を吹く。
ふっ、とケーキのろうそくが消えた暗い部屋に、新一の白い肢体が浮かび上がった。

思わず息を呑む。

「・・・しん、いち・・・?」
「誕生日、プレゼント。俺のこと、もらってくれる?」

新一がうるんだ瞳で下から見上げてくる。
ごくり、と喉が鳴った。

裸に、リボン。

「新一」
「かいと・・・」

新一が目を伏せる。
快斗は誘われるまま。新一に手を伸ばし、その艶やかな唇に、唇を重ねた。












「そこで目が覚めちゃったんだよ、新一!」
「・・・・へ――――――――――ぇ・・?」


ワインを開けている新一の手が震えている。

テーブルの上には、今日は快斗の誕生日だからということで、
新一が腕をふるって作った豪華な料理が、並べられていた。

「で?何が言いたいんだ?」
「やって!」

そういって、快斗が出したのはリボン。
ぶちっとキレた音がした。

「死ね」

ヒュっと快斗の横を風が通った。
ツーっと血が一筋流れる。

恐る恐る振り返ると、壁にフォークが刺さっていた。

「ちっ、はずしたか」

舌打ちした!マジで狙ってるっ!!
冷たい汗が背中を伝う。

「新一・・・・」
「さーて。快斗は飯、いらねぇみてーだから、隣に持ってって博士たちと食うかな」
「わー!やめて、新一っ!いるいる、いります!食べるーっ」
「うるせーよ。てめーに食わせる飯はねぇ」
「あるじゃん、ここに!俺のために作ってくれたんでしょー?
 ごめんてー、新一。ごめんなさいっ」
「知るか。夢でも見てろ」
「やーだー」
「祝ってもらったんだろ。夢ん中で」
「へ・・?」
「なら、別にいらねぇだろ」

もしかして、新一ってば。夢の中の新一に・・

「・・・やきもち?」
「バカなこと言ってんじゃねーよ」
「あう・・」
「俺が、お前との約束を守って作ってやった晩飯やケーキより、裸にリボンで
 抱いてって言われるほうがいいんだろ?」

やっぱり妬いてるんじゃん。いや、拗ねてるのか?
どっちにしてもかわいーなぁ、と内心ニヤニヤしながら、
そっぽ向く新一を抱きしめてごめんねと囁く。

「・・・・・離せ」
「怒ってる?」
「離せって言ってんだよ」

力の緩んだ腕の拘束を解き、新一は快斗の腕の中から抜け出した。

「あ。 ・・・新一ぃ〜」

なんとしても引きとめようと思って手を伸ばしたが、新一が向かった先はお隣じゃなくて、ダイニングテーブル。

「飯食うんだろ。さっさと食うぞ、冷める」
「え・・・」

だめと言われるのもいやだけど、こうもアッサリ許されると、それはそれで逆に怖くなってくる。

「今日は誕生日だからな。仕方ないから許してやる」

誕生日ってすばらしい。
快斗は今日という日のありがたさを噛み締めた。

「んだよ、許してほしくねーのかよ?」
「やだ、だめ!ごめん、許してっ!」

快斗は慌てて椅子に座った。
ふぅ・・と息をはいて、新一も席に着く。

ワインの入ったグラスを持ち上げる。

「そんじゃ、改めて。誕生日おめでとう、かいと」
「ありがとう、新一」


そして。
乾杯、と同時に新一が言った。
微笑みながら。


「愛してるよ、快斗」


滅多に聞けない新一からの告白。
快斗はらしくもなく、その顔を赤らめた。





遅れたから、ちょっといい目を・・・。 と思ったら、いい目を見させすぎたかもしれない(笑) どうせ新一はこの後、快斗に喰われるんです。 あ。タイトルに芸がなくてごめんなさい(笑)