新一バースデイSS その2
新一バースデイSS その2
今年もまた、自分の誕生日がやってくる。
そしてまだ、年を取ることが出来ない。
小学生のままの姿。
両親からはきっと明日プレゼントが届くだろう。
博士たちも祝ってくれるに違いない。
蘭からも・・連絡あるか?いや、こっちから連絡しないとないだろうな。
毎年すっかり忘れてるのに、どーして今年に限って覚えてるのか。
「工藤新一」は、今は居ないのに。
自分は「江戸川コナン」なのに。本当なら、この世に存在しないはずの人間。
工藤邸にある立派な時計が12時を告げた。
絶対に、戻ってみせる。元の姿に。
「おめでとう、俺」
なんて呟いて、なんだかとってもむなしくなった。
そのとき、机の上に放置していたケータイが震えた。
「あ?メール?」
こっちは・・・工藤新一用の携帯だ。
携帯を手に取ると、もう一つの携帯。江戸川コナン用のほうが着信を告げた。
「誰だ?」
ケータイを開くと其処には番号のみが表示されている。
首をかしげながらも電話に出た。
「もしもし?」
『こんばんわ、探偵君?』
「な、おま・・っ」
『メールは見たか?』
「メール?いや・・。まだ見てない」
『なんだ、そうか。まぁ、いい。一言お前に言いたくてな』
「んだよ?」
『誕生日、おめでとう』
「っ・・・」
『一番にこれがいいたくて。ダメだと思いつつ、気づけばって感じ』
キッドの口調がだんだんと軽くなっていく。
「口調が崩れてるぜ?キッド」
『電話越しに取り繕うこともないだろ?』
「たいした自身だ」
『いやいや。偽りの姿である、工藤新一に。本当の俺からおめでとうがいいたかったんだよ』
「むっかつくやつだな、てめぇ」
『お褒めに預かり光栄。あぁ、そうそう。プレゼント、工藤邸のほうに送っておいた。』
「プレゼントー?」
『あぁ。俺からの熱烈な愛の告白さ。心して受け取ってくれよ?』
じゃあな。工藤新一君。よいバースデイを。
そう残して、電話は切れた。
ツーツーという機械音がして、コナンは携帯を耳から離した。
「あ、メール」
新一用のほうに届いたメールをまだ見てなかった。
そう思って、メールを開く。
『 件名:non title
本文:HAPPY BIRTHDAY!
誕生日 おめでとう
探偵君 』
「ばーろ・・・」
新一には、KIDから。
コナンには、素顔のアイツから。
そして、きっと。明日にはあいつの素性がわかるだろう。
絶対に、ありがとうなんて言ってやらない。
嬉しいなんて、顔。見せない。
だから、今は。誰も見てない、今は。
「サンキュ」
その顔に浮かんだ笑顔は、なによりも・・・・・・。
携帯でカチカチしてブログに載せてたやつ。
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