First Love 1話
First Love 1
「転入生の黒羽快斗くんです」
「どーも、初めまして!黒羽快斗でっす。特技は、手品。どーぞよろしく」
そいつは、そうしてやってきた。
人懐こい笑顔を浮かべて、明るく自己紹介しているそいつ、黒羽快斗、を俺はぼーっと眺めていた。
教室が騒つく。
まぁ、確かにもてそうだ。
明るいし、身長もそこそこ。
顔だって悪くないし、無邪気に見せかけて、どこか男らしい空気を纏っている。
それが、黒羽快斗に対する第一印象だった。
「おい、なんか工藤に似てねぇ?」
「うん!私も思った。そっくり〜」
「やーん、かっこい〜っ」
・・・似てるか?
俺はクラスのそんな声に、心の中だけで首を傾げた。
「じゃぁ、黒羽くんの席は、工藤くんの隣ね」
そういいながら、先生が俺の方を指差した。
黒羽がやってくる。
「工藤くん?よろしくな」
「こちらこそ」
俺はにっこりと笑顔を浮かべて笑い返した。
「な、教科書見せてな」
「あぁ、もちろん」
1限目は現国。
俺は教科書を取り出し、黒羽に見せた。
「なー、工藤くんって探偵の?」
「ん?あぁ。つーか、別に「くん」とかつけなくていいぞ」
「え、そう?じゃ、工藤な。工藤ってさ、マジメな生徒?」
授業中にこそこそと話をする。
1番後ろの窓際の席。
俺は黒羽の質問に面食らった。
まさか、こんな事を聞かれるなんて。
黒羽を見るとニヤリとした笑み。
それを見て、俺も同じように笑い返した。
「いいや?やっぱりわかるか?」
俺は決してマジメに属する生徒ではない、と自覚している。
周りがどう思ってるかは知らないけど。
「んー、まぁ、カンだけどー。じゃさ、後でいい場所、教えてよ」
サボりに最適な場所、と俺には聞こえた。
イコール、人の少ない所、とか、人気のない場所とかだ。
俺はリョーカイ、と返事をした。
黒羽とは仲良くやって行けそうだと思った。
先生が困ったようにこちらを見ている。
俺は前を見て授業を聞いている振りをした。
黒羽も同じく、だ。
「えーっと、じゃぁ、ここの問題。黒羽君、わかるかしら?」
頼りにならない女の先生。
若くて、授業のやり方もへたくそだ。
黒羽は、はい、と返事をして立ち上がり、答えを返した。
先生は正解、と言って、着席を促す。
座って、黒羽が俺にピースを向けてくる。
俺もにっと笑ってかえした。
黒羽は俺と同じように、話を聞いているようで聞いてないらしい。
それでも、きっと困らないんだろう。
器用にシャーペンを回している。
綺麗な手だと思った。
そーいえば手品が特技、とか言ってたっけ。
俺は頬杖をついて、その授業中は黒羽の観察で終わってしまった。
あっというまだった。
こんなにも好奇心がうずく。
こんなことは久しぶりだ。
黒羽快斗、面白いやつかもしれない。
快新とか久しぶりすぎて、キャラが偽者っぽい(汗)
久々、連載。
頑張ります。
戻