3、君の歌。



〜♪

珍しい。
快斗はリビングで、台所に立つ新一の後姿を見ていた。

時々鼻歌が聞こえてくる。
上機嫌らしい。

新一が自ら鼻歌を歌うなんて、
珍しいこともあるモノだ。

貴重なこの機会を逃すまいと、快斗は耳を澄まして新一の歌を聴く。
どれだけ音痴でも、そのちょっとずれた音程さえ、可愛く思えてしまい、
自然と顔が緩む。

今日は珍しく新一がご飯を作ってくれるし、
こうやってのんびりしながら、新一の歌も聴けるし。


幸せだなぁ・・・。


快斗は心の中で呟いて、その幸せを噛み締めた。