5、プレゼント。








家のチャイムがなって。
玄関を開けたら、目の前が真っ赤だった。

「・・・・・」

一瞬呆けて、はっと我に返る。
強い花の香り。

赤の正体は、真っ赤なバラだった。

思わずそれを受け取ると、その後ろから顔を見せたのは、
自分の恋人。

「快斗・・?」

これはなに?と首をかしげて問う。

こんな花束をまさか自分が貰う日がくるなんて思ってもいなかった。

「ん?プレゼントだよ」
「って、なんの・・・」

ホントにわかってないんだ。
と苦笑する快斗に更に首をかしげる。

「誕生日でしょ?」
「たんじょうび・・・」

言われて、あぁ、今日は誕生日か。と思い出した。

だからって、こんな・・両腕いっぱいのバラの花束って。

これを持って立っている快斗を想像して、不覚にも、顔を赤くしてしまった。
似合ってる・・。
カッコいい、とか思った自分が恨めしい。

誤魔化すように、新一が顔を背けて入るように促す。
快斗が笑ってるのが分かる。


「新一」
「ん?」

この花、どうしよー?と悩んでいた新一は、呼ばれて振り向いた。

「誕生日、おめでとう」

笑顔で言われた言葉と、一緒に降りてきた唇。

優しい口付けに、目を閉じて受け止めて。

赤い顔と笑顔で、お礼を言った。


「ありがとう」






Happy Birthday!