伝える術は・・・。 言わなければ伝わらないなんてこと。 本当はわかっている。 「プラチナ様、こんな所にいらしたんですか」 「・・・ジェイドか」 一瞬だけ目をやって、すぐに元に戻す。 「何か、考え事ですか?」 「まぁ、そのようなところだ・・・」 月が雲に隠れてしまった。 「まだ夜は冷えますよ。中に入りましょう」 きっと、ジェイドは俺が今どんなに胸を高鳴らせているかなんて、知らないだろう。 どれほど、想っているかなんて。 ・ ・・・ジェイドの気持ちがわからなくて、自分の気持ちを口にするのが恐い。 こんな気持ち、出来ることなら知りたくなかった。 けれど、気づいてしまったからしかたない。 もっと傍に、と望んでしまう自分に戸惑っている。 「プラチナ様?」 「好きだ」 返事の変わりに口をついて出たのは、決して言えないと思っていた言葉。 名前を呼ばれて、つい、言ってしまった。 しまった、と思ってももう遅い。 戸惑ったように視線を彷徨わせるプラチナに、ジェイドが笑ったのがわかった。 「やっと、言ってくれましたね」 「・・・・・・は?」 「ご自分の気持ちを、ですよ。もしかして、今まで気づいていませんでした?」 「な・・っ、お前、知って・・・!?」 「当然です」 それは衝撃のジェイドからの告白だった。 まさか、気づかれていたなんてっ!! かーっと顔が熱くなった。 ジェイドが近づいてくる。 プラチナが言葉を発する前に、ジェイドの腕に抱きしめられた。 「嬉しいですよ、プラチナ様」 「・・・この・・・、悪趣味な奴め・・っ」 「仕方がないでしょう。プラチナ様に言って頂きたかったんですよ」 ジェイドが本当に嬉しそうにしているから、なんだか文句も言えなくて。 再び顔を出した月の下で、二人は初めての口付けをした。
二種類オマケがございます。 お好きなほうへどうぞ〜。 オマケ@ オマケA 戻