第十五話






次に目覚めたときは、もう外は暗かった。
時計は10時をさしている。
新一は、はー・・とため息をついて、重い身体をベッドに沈めた。
まだ、頭が寝惚けている。

今日一日だけで、色々・・・ありすぎた。
思い出すと恥ずかしくて、一人顔を赤くした。
そして、ふと気付いた。
快斗が、いない。

「快斗・・・?」

一緒に眠ったはずなのに。
隣にその人の気配は無くて。

こみ上げてくる不安。
まさか、帰ったとか・・・?
いや、トイレとか・・・飯くってるのかもしれないし。

新一が快斗を探そうとベッドを出ようとしたとき。
部屋のドアが開いて、新一はらしくなく、大げさなほどにびくついた。

「あ、新一・・おきた?」

顔を覗かせたのは、新一が探していた人。

「快斗・・・・どこに・・?」
「ん?あぁ、台所にね。お腹空いてたらとおもって、軽く作って持ってきたんだけど・・・」

そう言う快斗に、安心した新一はベッドの上に脱力した。

「新一・・?」

近づいてきた快斗は、テーブルの上に食事をおくと、ベッドのふちに腰掛けて、新一を見る。

「なんでも・・ない。」

急に、不安になっていたことが恥ずかしくなって。
こんなに弱い自分はいやだ。

「そんな顔して、なんでもないわけ無いだろ?言ってこらん?」

まるで、子供に言い聞かせるように。
でも、顔に触れ、髪を梳くその手は子供に触れるそれとは違う。
それでも、いや、だから・・余計に恥ずかしくて。
新一は突っ伏して枕で顔を隠し、快斗の問いに答えた。

「帰ったのかと思った・・・・」

くぐもった声で告白する新一に、快斗はキョトンとする。

「誰が?」
「・・・快斗が、もう帰ったのかと思ったんだよっ」
「まさか」
「・・・おきたとき、いなかったから・・・・」

そこで、快斗は自分の失態に気付く。
新一を不安にさせたのは自分の行動だ。
後悔の謝罪を唇にのせ、快斗は新一の剥き出しの項に口付けた。

「ごめんね・・?」
「っ・・別に、いい・・・」

そういって、身体を起こす。

「新一?」
「飯。くう。んで、風呂入って寝る。」
「そうだね・・」
「泊まってく、だろ?」
「え・・」
「帰るのか?」

こんな時間に。10時過ぎなのに?

「泊まっていいの?」
「・・・なんで、自信満々に恋人だって豪語するのに、そんなに不安そうに聞いてくだよ」

へんなやつ。と新一が笑う。
それに快斗が赤くなる。
珍しそうに笑いながら快斗を見る新一をキスで黙らせて。
そのあと、一緒に風呂に入り、絶対にもうHはしないぞ!と快斗に言い聞かせて、同じベッドで眠った。














後日。
それから、快斗は再び新一の家に入り浸る毎日が始まった。
学校に行った快斗は新一とのことを質問攻めにされ、しかし、逆にノロケられ、
快斗に絡んだことを後悔するクラスメイトが目撃された。

新一のほうも、幸せが顔に出て人当たりのよくなった新一に邪な想いを抱く輩が増え、
そこのとを耳に入れた快斗が本気で新一の学校に転校することを考えているのは、

・・・・まだ、誰も知らない。




やーっと終わりました。 第一部終了です!!(そう、第一部(笑)) あー、ほんと自分でもどうなるかと思いましたけどね。 なんか終わりが急いだようになるのは私の悪い癖。 なおさないとなー・・。 精進精進・・・。 では、長々とお付き合い、ありがとうございました!