本気のキスをしよう


第一回




「サボりの一樹くーん?今日時間ある?」

2限目の終わり。
まだ人は少ないが、これから賑わってくるだろう大学の食堂。
授業が早く終わったため、購買で買ったパンとカフェオレで少
し早い昼食をとっていた俺に声をかけてきたのは、同じ学年で
同じ学部で同じサークルの友達、深山裕貴だ。
ちなみに言うと卒業高校も同じだ。
高校時代はバスケ部に所属していただけあって180pはある長身。
大学に入ってから染めた金に近い茶髪は深山によく似合っていた。
モテるだろうな、と言うことがよくわかる。
実際タラシだしな。

「サボりじゃねーよ。抗議はもう終わったんだ」
「ん?んなことどっちでもいいから、今日ヒマか?」

・・そうかよ。

「ヒマだけど?つか、お前こそ授業は?」
「ん?休講だったんだ。よしっ、メンバー集まった!」
「は?」

顔を上げず、紙に何かメモを取りながら返事をする深山に
首を傾げる。
メンバーって、なんの?

「合コンだよ、合・コ・ン」
「ちょっ、俺は行かねーぞ!!」

深山はウインク付でそう言う。
焦って、行かねぇ!と言ったが、深山は全く気にした様子はない。

「んな堅いこと言うなって!たまには参加しろよ。彼女が
 いるわけじゃあるまいし」
「そーだけどっ!いや、そういう問題じゃねぇ!」
「じゃ、時間はまたメールするから。よろしくなぁ」
「おいっ!深山!」

怒鳴るがもう遅い。
深山はヒラヒラと手をふってさっさと食堂を出ていってしまった。

「はぁー・・」

好きで彼女がいないわけじゃねーっつの。
俺は深くため息をついて、途中だった食事を再開させた。




ま、プロローグって事で。