第五話



『俺、新一の事、本気で好きだから・・・・・』


キス・・されてしまった。
確かに、初めて会った時に好きだと言って抱きしめられた。
でも、この数日は普通に友達として接してきた。
・・・・そう思ってたのは、俺だけ・・・?

どうして急に、そんな行動に出たのか、わからない・・・。

確かに、快斗のことは、好きだ・・・と、思う。
でも、わからない・・・。
だって、こんなに心を許した人は初めてだから。
友達だと思ってた。それが嬉しくて・・・。
この好きだと言う気持ちは友達に対する好意じゃないのか・・・?
わからない、けど・・・。
快斗と同じ気持ちだ、と言うことも出来ない。

キス、されて・・・。
普通、同性の、友達だと思ってたやつに・・・(いや、告白はされてたんだけどさ)
襲われて、ってか・・キス、されて・・。そういう意味で好きだ、といわれて。
普通はどういう反応をするものなんだろう?
蹴飛ばして出て行けと怒鳴るか?
絶交するか・・・?
どれも、思い浮かばない。
と、言うか・・・。全然、イヤじゃなかった・・・。
俺が変なんだろうか?・・いや、そうなんだろうな、多分・・・。
どうして?・・・相手が、快斗だから・・・・?
今まで、男を相手にするなんて考えた事も無かったし。
快斗と縁を切るどころか・・・。これから先、快斗とどう接していこうか、そんなことを考えている。

風呂に入っている快斗が出てきたら、俺はどうすればいい?
気にしてない風を装って、今までと同じように接したらいい?
それとも・・・・。
わからない。
アイツは、俺にキスをしたあの男は・・・、今どんな気持ち・・・?

俺は、こんなにドキドキしてるのに・・・・。
どう接したらいいか、わからないのに・・・・。

顔を紅くした新一が、なんとか火照りを覚ます事が出来たのは、快斗が戻ってくる五分前・・・。